人間と霊体のダブル操作
『ビヨンド:トゥーソウルズ』では、人間の主人公ジョディと霊体のエイデンの2人を操作していくアドベンチャーゲーム。
霊能力者として孤立するジョディを取り巻く人間ドラマを楽しむことができる。
ゲームをプレイした人からすると少し語弊がある説明になるのだが、エイデンはジョディの守護霊のような存在。
ジョディとは別人格で、ジョディから離れすぎると力を使うことができない。
例えば、人間のジョディが開けられないドアをエイデンが霊体ですり抜けて反対側からロックを解除する。というようなプレイが可能になっている。
霊体であるエイデンは空間を移動し、特定のオブジェクトを動かしたり破壊したり…。
それが人間の目にはポルターガイストのような不思議な現象に見える。
ジョディとエイデン、2人の能力を駆使して道を切り開いていくパズル的な面白さが含まれている。
- 壁をすり抜けて偵察する(会話を盗み聞きする)
- セキュリティを解除する
- 敵を絶命させる
- 敵に憑依して操る
- 傷を治療する
- 過去の記憶を見る
など、使い方が豊富なので、その時々で、
と、感心してしまった。
ゲームは通常、主人公の背中が見えている3人称視点で描かれていることが多いと思うが『ビヨンド:トゥーソウルズ』では、
と錯覚してしまうトリックの面白さがある。
まるでプレイヤー自身がジョディに取り憑いたエイデンになったかのような不思議な感覚でプレイできるだろう。
行動と選択肢による分岐
アドベンチャーゲームといえばストーリー分岐だが、『ビヨンド:トゥーソウルズ』では選択肢が、全て提示されるわけではないのが面白い。
例えば、会話中の選択肢やQTEの成否は全てのプレイヤーに与えられる選択肢だが、それ以外に、
「○○の傷を癒したか」
など、はっきりとは提示されない部分でも分岐が発生する。
各チャプタークリア後に、どの選択肢を選んだかが表示されるので、その時に初めて、
と、気づくことだってある。
リプレイに拍車をかける要素になっているし、自分に与えられた選択肢を見つける面白さが生まれているのは新鮮に感じた。
20年を超える時をかけて描かれる欲張りなストーリー
ストーリーは、不思議な霊能力を持ったジョディの視点で描かれる。
親や世間からは化け物扱いされ、研究所で監視生活を送り、軍に入れられ、普通の生活が許されない自分の運命を呪いながらもエイデンとともに生きていく姿に心打たれる。
幼少期から成人まで、長きに渡ってジョディという女性の人生を見ていくので、忌み嫌われた彼女の力が徐々に切り札となっていく展開はとても気分がよかった。
『ビヨンド:トゥーソウルズ』のストーリーは非常に欲張りであると思っている。
- ヒューマンドラマ
- サイエンスフィクション
- サスペンスホラー
- ミリタリー
まで、多ジャンルの要素が詰まっている。
時には人の温かさと冷酷さを感じ、軍に所属してミッションを遂行したり、霊による恐怖演出など、様々な刺激を体験することができるようになっている。
中盤以降は、予想だにしていなかった迫力の展開が待っているので、クリア時には大作映画を鑑賞したような満足感を得られた。
バラバラの時系列による伏線
『ビヨンド:トゥーソウルズ』はチャプターごとにストーリーが展開するが、プレイする順序はバラバラの時系列だ。
青年期をプレイしたかと思えば、幼少期に転じたりする。
が提示されるので、時系列を整理するのは難しくない。というか面白い。
失意の中にあるチャプターをプレイすると、当然プレイヤーは、
と、気になって仕方なくなる。
そして、いよいよ過去のチャプターへと遡ると、「あぁ、なるほどな」という伏線が回収される気持ち良さを感じられるのだ。
PS4版では、時系列順にプレイすることも可能になっているが、ぜひオリジナル版の順序で楽しんでもらいたい。
気になった所
唐突なSF展開
様々なジャンルのストーリーが楽しめるのは面白いのだが、人によっては唐突な展開に違和感を覚えるかもしれない。
序盤では、霊能力が不思議な超能力として描かれるのだが、中盤あたりからはSF展開が加速する。
時系列がバラバラに描かれることもあって、急に作風が変わったように感じるので、人によっては冷めてしまうかもしれない。
個人的にも少し戸惑いがあったけど…、
「思っていたのと違う」というのは、内容の是非とは関係なくマイナス要素になり得るので、SFっぽい要素も詰まっているということを知っておくと最後まで楽しくプレイできるはず。
まとめ
プレイするドラマ系アドベンチャーが好きであれば、リアルな人間描写と重みのあるストーリーを楽しめる良作になっていると思います。
幼少期〜成人期まで、20年以上にわたって描かれるドラマは、SF要素だけ頭に入れておけば最後まで楽しめますよ。
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20年を超えて描かれる壮大なストーリー
SFによるスケールの大きな展開
ドキドキのQTE
霊体エイデンによるパズルアクション
霊体エイデンによるむちゃくちゃな破壊行為
選択肢だけでなく行動によっても分岐するストーリー
時系列バラバラによる伏線の機能
恋愛やヒューマンドラマも楽しめる
操作やカメラが悪くもどかしい
唐突なSF展開
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