『スーパーマリオ パーティ』は、現世代機、いや前世代機も含めて1番の『マリオパーティ』だ。テンポの遅さは――完璧とは言わないまでも――凡そ解決された。盛りだくさんのミニゲームは――欠点の抱えているJoy-Conで操作するが――とても出来がいい。そして、ゲームの最後でランダムに与えられるボーナススターも相変わらず問題だ。しかし、それら欠点は過去のシリーズ作品ほどパーティを白けさせる要因にはなっていない。なぜなら、チーム戦の「マリオパーティ 2on2」を筆頭に、本作は競争性や戦略性が高く、なにより楽しい作品に仕上がっているからだ。
パーティモード
『スーパーマリオ パーティ』は、競争性の高いいくつものミニゲームを集めた運要素の強いボードゲームのバーチャル版だ。かさ増しのために収録されているゲームも多く、時間を割く価値のあるものは限られている。もっとゲームモードの核心の部分に焦点を当てている方が私は好きだが、最大4人のプレイヤーが楽しいひと時を過ごすために必要なものは十分に用意されている。
本作のメインモードである「マリオパーティ」は、1~4人のプレイヤーがすごろく風の枝分かれした4つのマップを周回するモードだ。勝利のために必要なスターを集めるために歩を進めながら、1ターン終える毎にミニゲームをプレイすることになる。『マリオパーティ10』では、ミニゲームをプレイするには特定のマスに止まる必要があった。ミニゲームが多い方が面白いのに。
私が「マリオパーティ」に求めているのは血が流れそうなところまでの真剣勝負だ。
枝分かれや常に変わり続けるスターのマスといった要素により、マップも一本道ではない。どのマップも面白いが、シリーズ過去作品のベストマップと比べると幾分シンプルなのは否めない。マップの選択肢は4つしかないので、もしそのうち1つか2つがあまり気に入らなかった場合、ゲーム自体に飽きてしまうのも早くなるだろう。
本作を遊びつくした末に私の1番のお気に入りとなったのは「マリオパーティ 2on2」だ。「マリオパーティ」の4つのマップを使い回しているが、協力プレイを導入し、マップを自由に進むことのできる碁盤の目状にしたことで新鮮味が増している。プレイヤーはパートナーと一緒に、仲間やスターを集めたり、対戦相手を踏ん付けたりと、いろいろなことに挑戦できる。ターンごとに2人で戦略を練る必要があり、私のパートナーは何ターンも先まで計画を巡らせていた。友達とチームを組んでのプレイは競争的な雰囲気を強めてくれて楽しいし、『スーパーマリオ パーティ』をただサイコロを振り続けるだけの単調なゲームに感じさせないために欠かせない複雑さを与えてもくれる。
「マリオパーティ」モードでも「マリオパーティ 2on2」モードでも、コインを勝ち取るためには対戦相手に勝つ必要があるので、ミニゲームは重要だ。そこにちょっとした戦略性が加わり、相手に一歩先んじることが欠かせない。しかし、これだけではまだ勝利の行方はわからない。熟練のプレイヤーがいつも勝ち続けてしまうのを防ぐため、ランダム性の要素が取り入れてあるからだ。
『スーパーマリオ パーティ』に収録されているゲームモードのうち、またプレイしたいと思えなかったのは「リバーサバイバル」。本モード専用のミニゲームが収録されており「みんなが勝者!」といった雰囲気が感じられる。小さな子供にはちょうど良いのかもしれないが、私が「マリオパーティ」に求めているのは血が流れそうなところまでの真剣勝負だ。
クラウドコントロール
『スーパーマリオ パーティ』は、ゲームモードを問わずすべてのプレイヤーが1本のJoy-Conを使ってプレイするスタイルとなっていて、Proコントローラーやグリップは使用できない。これにより、開発チームはコントローラーの違いで有利・不利が生じることを心配せずに創造性を発揮することができている。ユニークな3D振動やモーションコントロールを利用したゲームもたくさん用意されている。『スーパーマリオ パーティ』の開発チームは10年にわたるモーションコントロールの歴史を経ていくらかの自制心を身につけたようで、Wii時代のゲームにありがちだったひどいゲームプレイ体験に本作では出くわさなかった。そうはいっても、もし氷塊を削るためにJoy-Conを振り回したり飛行機を操作するために慎重にJoy-Conを傾けたりといった体験が好きではないのなら、『スーパーマリオ パーティ』をオススメすることは難しい。
氷塊を削るためにJoy-Conを振り回すことが好きではないのなら、本作をオススメすることは難しい。
Joy-Conのユニークな機能を生かした面白いミニゲームがある一方で、ハードウェアに起因する深刻な問題も存在する。例えば、4人向けのモードをプレイするにはJoy-Con4本と4つのリストストラップ、そして長時間の充電が必要になる。もしSwitch本体を1台しか持っていないのであれば、Joy-Conを充電できるのはプレイしていない間に2本までとなるので充電のタイミングを慎重に考える必要がある。パーティモードで1番短いプレイでも10ターンでおよそ60分のプレイ時間となるので、もし手持ちのJoy-Conがそれだけ充電がもたないのであれば、追加の充電用アクセサリーか予備のJoy-Conが必要となる。
Switchを2台持っているなら
近くにある他の端末を認識し通信できるSwitchの機能を生かした独立のミニゲームも存在するが、それらすべてでコンセプトがうまく利用されているとは言えない。こうしたゲームをプレイするのに絶対に2台の端末が必要なわけではないが、もし2台でプレイしたいのであれば『スーパーマリオ パーティ』のソフトも2つ必要になることは注意してほしい。
Switchを2台、ソフト2本でプレイする場合は、それぞれに2人のプレイヤーを割り当ててすべてのゲームモードを2台の画面でプレイすることも可能だ。しかし、2台のSwitch画面を使っていてもなお、画面分割のミニゲームは表示がぎゅうぎゅう詰めで、特に文字はあまりにも小さく読むのが難しい。Switchをポータブルモードにすると他のプレイヤーの吐息を感じるほど近くに寄る必要があり、テレビに接続してプレイする方がおすすめだ。
ミニチュアゲーム
『スーパーマリオ パーティ』の最大の魅力にして1番の驚くべき要素は、80もの超一流のミニゲームだ。間違いなく近年随一の出来で、退屈だったものは特に思いつかない。お気に入りの一部を紹介しよう。
キノピオ食堂 – 明らかに『オーバークック』のパクりだが、このゲームではキノピオや対戦相手の妨害を受けながら忙しい厨房で材料を集めて料理を完成させることになる。
焼いてサイコロステーキ – Joy-Conのモーションコントロールを使ってフライパンの上のサイコロステーキを回転させ、上手く全面を焼き上げるゲームだ。
センターで写れ – 4人のプレイヤーが押し合いへし合い殴り合いながらカメラのセンターで写真に収まることを目指す。出来上がる写真はいつも素晴らしい。
ブルブル!ドングリ集め – Joy-Conの精密にチューンされたHD振動機能を使って、ドングリのたくさん入った箱を見つけ出し多く集めるゲーム。
行き届いたディテールも評価に値する。テクスチャ、反射、そして微妙な質感といった要素は、『マリオパーティ』シリーズの売りとしてまず挙げられるものではないが、本作では一段とレベルが高い。「焼いてサイコロステーキ」のキッチンは本当に細密に描かれていて、たとえばフライパンは表面に引かれた油がジュウジュウと煮えたぎり蒸気まで上がっている。リアルを追求した描写は、時にカートゥーン調のゲームプレイと不調和に感じられることもあった。
量と質
『スーパーマリオ パーティ』は、過去のシリーズ作品に欠けていた素晴らしい品質が備わっている。『スーパーマリオ オデッセイ』ほど迫真に迫るグラフィックやゲームプレイを追求しているわけではないが、「マリオパーティ」シリーズのファンならポリゴンが急激に良くなっていることにすぐ気が付くだろう。『スーパーマリオ オデッセイ』は現実世界とキノコ王国の珍奇なマッシュアップや、しゃべる帽子、そして全体的な不可思議さが際立つ作品だが、『スーパーマリオ パーティ』にもそれくらい尖った目新しさが欲しいところだ。見慣れた、いやもはや見飽きた感のある、煌びやかでキノピオまみれのキノコ王国がまた舞台となっているのは、郷愁よりも哀愁を感じてしまう。
「マリオパーティ」でも「マリオパーティ 2on2」でも、使用するマップは4つしかないため、80のミニゲームに飽きるよりも早くにこのマップに飽きてしまうだろう。「リバーサバイバル」や「なりきりビート」といった、他と比べると見劣りしてしまうゲームモードは、マップの少なさを補うには至っていない。「オンラインアスロン」と呼ばれるソロプレイ専用オンラインモードも、本作をより長く楽しめる作品にするための仕掛けの一つだが、レビュー執筆時点ではサーバーがまだ立ち上がっていなかったため試してみることはできなかった。
THE VERDICT(判定)
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