命を落とした12人による12週間のライフゲーム
ある日、命を落としてしまった12人の男女が、≪女神の選定≫と呼ばれる儀式の参加者となるところからストーリーは始まります。≪女神の選定≫は、12週間の期間中に他の参加者の情報を集め、脱落させていくことによって、最後の1人だけが再び生き続けるライフゲームです。
参加者同士の共闘や裏切り。脱落者が発生するたびに死の運命が確定して、改変されていく世界。≪女神の選定≫で脱落しない限り、現実世界で死ぬことがない参加者たちといった、様々なアクセント・設定が用意されていて、とても興味深い内容です。
ストーリーは、主人公視点だけで描かれるのではなく、他の参加者視点にも切り替わる群像劇形式で進んでいきます。大きな出来事のない日はスキップされることも多く、12週間=84日の長丁場ですが、スピーディーな展開で読み進めることができました。
豊富なイラスト枚数とフルボイスのストーリー
約12時間のボリュームに対して、差分抜きで50枚以上のイラストが用意されているのは、大きな特徴です。イベントのたびに新しいイラストが見られるといっても過言ではない密度で、フルボイスと併せて、とても華やかな印象を受けるストーリーになっています。
ゲーム内だけでは説明しきれない複雑なルール
12人が生き残りを賭けて競い合う≪女神の選定≫は、少し複雑なルールになっています。他参加者の「氏名」「死因」「未練」を集めて指名を行い、脱落者を生み出していく基本ルールに加えて、複数の特殊ルールが存在するため、ゲーム内の文章説明だけではピンと来ませんでした。
補完として、公式サイトでルール解説動画が公開されています。動画ではイラストを使って丁寧に解説されているため、とても分かりやすいです。しかし、外部情報は気付かなければ存在しないも同然なので、ゲーム内にうまく組み込まれていた方が親切だと感じました。
良作ながらもゲームとしてはいまひとつ
本作には選択肢が数多く用意されているものの、バッドエンド以外の大きな分岐は終盤に集中しています。結果、ストーリーがほとんど一本道で、ゲームとしての面白さはいまひとつでした。複雑な≪女神の選定≫のルールを活かして、幅広い展開を楽しませてほしかったです。
分岐やマルチエンディングの活用に物足りなさはありましたが、1つの物語としてはよくできており、作品に対する満足度は高いです。特に、登場人物たちがいずれも魅力的で、豊富なイラストやフルボイスもあって、主人公以外にも気に入ったキャラクターがたくさんいました。
さいごに
私がプレイした時点では、不具合によってエンディングテーマが流れず、全てのエンディングでスタッフロールが無音だったことも、物足りなさを助長していました。ちなみに、オープニングがとても耳に残る楽曲で、フルバージョンの収録されたサントラが発売されたら購入したいです。
公式サイトやSteamでは、フルボイス体験版も配信されています。ボリュームはプロローグ程度で、面白くなってくるところで終わってしまうのですが、続きが気になったら製品版のプレイをおすすめできる作品でした。
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見応えのある群像劇
豊富なイベントイラスト
説明不足の選定ルール
物足りないストーリー分岐