憎しみを心に秘めたジェダイのように、「Star Wars バトルフロント II」の宿敵はまさに自分自身である。より強力になった武器、「スター・ウォーズ」を象徴する豪華なキャラクター陣、細部までこだわられた美しいロケーション、そして新たに追加された短いシングルプレイヤーキャンペーン(ストーリーモード)はどれも評価に値するが、本作の不可解な成長システムと性急なストーリーテリングのせいで、本作は浅はかな“スター・ウォーズごっこ”にとどまっている。

キャンペーンモードは単なる星の仮想旅行(スター・ツアーズ)だ

2015年の「Star Wars バトルフロント」にはなかったシングルプレイヤーキャンペーンを搭載したのは良いが、本作のキャンペーンはたった4時間でクリアできる簡潔なものだ。しかもこのストーリーモードの内容も大きな問題を抱えている。「ジェダイの帰還」と「フォースの覚醒」の間の時代における帝国軍の特殊部隊インフェルノ隊の指揮官アイデン・ヴェルシオの物語を追うという視点は新鮮だが、壮大に描かれるはずだったキャラクターの心の軌跡をたった4時間に詰め込んだために、この小さな物語は支離滅裂なやっつけ仕事のように感じられてしまう。

キャンペーンに必要不可欠なストーリーテリングは極めて稚拙だ。

満足感を与えてくれる新兵器や、地上戦とシンプルながらも派手な宇宙戦の組み合わせのおかげで、実際のミッションの大半は楽しいものだが、キャンペーンに必要不可欠なストーリーテリングは極めて稚拙だ。最初のミッションでは、アイデンが深みのある人物として描かれており、帝国崩壊の中で苦悩する彼女の目を通して「スター・ウォーズ」の世界や歴史を見せるというユニークな手法も期待を持たせる。しかし、強力な導入部分の後、アイデンは考えられる限り最も予測可能なつまらない道筋に突き落とされ、彼女の行動や選択の理由もまともに説明されておらず、正当性と合理性の欠如が目立っている。

さらにひどいのは、有名なキャラクターのカメオ出演や様々な場所を絶え間なく見せることが優先されるため、主人公であるはずのアイデンが途中からほとんど無視されてしまったことだ。デベロッパーのDICEが映画のようなフィーリングやサウンド、ビジュアルの素晴らしい再現に力を入れているので、“スター・ツアーズ”、もとい「スター・ウォーズ」旅行という意味では楽しいのだが、この楽しさは決してストーリーの浅薄さを誤魔化せるものではない。ミッションを繋ぎ合わせるために利用された、紙のように薄いプロットは、フラストレーションを引き起こすものでしかない。カットシーンが頻繁にカクカクするのも気になるところだ。

 

マルチプレイヤー

とはいえ、「バトルフロント II」をプレイする最大の理由は、やはり大規模なマルチプレイヤーバトルを楽しむことだ。しかし残念ながら、こちらについても――前作から進化した部分は確かにあるものの――長持ちする魅力を無にしてしまうほどの大きな問題を抱えているのだ。

 

前作と比較すれば、パンチの効いたサウンドを発する重厚な感触の武器は使い心地が良く、「スター・ウォーズ」における刺激的なシューティングアクションに相応しいものとなっている。また、能動的なリロードシステムは、ひたすら発射し続けるだけだったところにスキルと思慮深さを加えた。

当たり判定が小さいヨーダはジェダイの中でも「史上最強」の名に恥じない戦士になっている。

上手なプレイへのご褒美として、プレイヤーはダース・モールやルーク・スカイウォーカーといった多様なヒーローを操って敵を爽快になぎ倒すチャンスを得る。その中には、当たり判定がおかしいほど小さいためほぼダメージを受けないヨーダも含まれ、ジェダイの中でも「史上最強」の名に恥じない戦士になっている。また、スターファイターを操縦して空中戦を繰り広げたり、上空から地面にいる敵を猛攻撃したりすることも可能だ。

クレートを購入するには途方もなく高額なクレジットが必要だ。

しかし、刻一刻の戦闘が素晴らしい一方、スターカードは私がこれまで経験したあらゆるゲームの中でも最悪の成長システムのひとつだ。各クラスの強化は、ウンザリするほど高いコストを要するランダムなクレートを通して行われる。私は1回で5分~15分程度かかるマッチごとに100~350のクレジットを稼いでいたが、ベーシックなトルーパー・クレートを購入するには4000という途方もなく高額なクレジットが必要だ。

クレートからは3枚か4枚のランダムなスターカードや、特定のカードを作成するための何らかのクラフトパーツをアンロックできるが、その中に混ざっている、純粋に見た目を変えるだけの実用性ゼロのアイテムはどうしようもなく鬱陶しい。クレートを開けるたび、微妙に攻撃力を高めるカードを獲得するかもしれないし、全く新しいアビリティーをゲットするかもしれないし、使っていないクラスのための無用なエモートを手に入れてしまうかもしれないのだ。

「Pay to Win」であろうとなかろうと、このシステムは単純に劣悪だ。

本当に欲しいものを入手できることが稀だったので、私はクレートを頻繁には開けていなかった。このシステムのせいで、クラスの強化はフラストレーションの溜まる単純作業のように感じられた。エレクトロニック・アーツ(EA)の決断で全てのゲーム内課金が停止になったものの、スターカードシステムはキャラクターを育てる上で苛立たしく、不快なほど遅く、全く直感的でない方法である。「Pay to Win(P2W)」であろうとなかろうと、このシステムは単純に劣悪だ。しかも、「Deluxe Edition」購入者がゲットできる最強レベルのカードによるゲームバランスの問題も解決されていない。

不条理な成長システムがマルチプレイヤーの輝きを迅速に失わせる。

この不条理な成長システムがマルチプレイヤーそのものを即座につまらないものにしてしまうわけではないが、迅速にその輝きを失わせるのは間違いない。また、「スター・ウォーズ」らしい11の舞台にまたがる多様なマップが存在し、今後も無料DLCという形で新規マップが追加される予定だが、多くのプレイヤーは待ちきれないだろう――マッチとマッチの間で経験させられる退屈なカード集めから気を紛らわすために、頻繁にマップを変えることが唯一の方法なのだから。

プレイ中にパフォーマンス面の問題やバグに遭遇したことも特筆すべきポイントだが、ゲームを完全に台無しにするほどのものではない。PC版では時折フレームレートが落ち、カードコレクションをチェックする際にサーバーが追いつかないこともしばしばあった。また、マップ上で動けなくなることは1、2回あったが、戦闘自体は十分問題なく動作している。