デジタルコンテンツ協会が主催して、最先端のデジタルコンテンツ技術を紹介するデジタルコンテンツEXPO 2017が10月27日から29日まで、東京都江東区の日本科学未来館で開催。乗馬や宝探しをいながらにして体験できるVRがあり、ユーフォニアム奏者やピアニストがAIと絶妙のアンサンブルを見せるライブがあってと、楽しみながら様々な技術に触れられる。

無限に続く階段は上りより下りが恐ろしい……仮想の体験が心身を揺さぶるVRが並ぶデジタルコンテンツEXPO2017
ユーフォニアム奏者の今村耀さんがAIと合奏

演奏家が入場してくる。ユーフォニアム奏者の今村耀さんで、そのままポジションを取ってユーフォニアムを吹き始めると、重ねるように演奏が流れてきて、美しい合奏を聴かせてくれる。音源を流して、それに合わせて今村さんが演奏をしているのではなく、今村さんの演奏に追従して、人工知能が演奏を合わせている。

ピアニストのよみぃさんの場合は、2台並んだピアノの片方をよみぃさんが弾くと、誰も座っていないピアノが自動演奏されて、よみぃさんの旋律に音を重ねて来る。後方から当てられたスポットがよみぃさんの影と、姿の見えないピアニストの影を映し出して、AIの存在を感じさせる。

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AIが人間の演奏に合わせてくれる「みらいのアンサンブル」。誰も座っていないピアノから伸びる影の正体がAIか

ヤマハが開発した、機械が人の演奏に合わせてくれる人工知能合奏技術を使った「みらいのアンサンブル」の展示。合奏をし終えた今村さんは、「オーケストラの音源やメトロノームに合わせる時は、自分が合わせなくてはなりません。これは自分が吹きたいように吹くと、ついてきてくれます」と話して、人間の奏者がそこにいるような感覚を覚えたことを明かした。演奏では人気アニメーション「響け!ユーフォニアム」に登場する楽曲を聞かせてくれた今村さん。AIが演奏者の個性を搭載するようになった先で、憧れの田中あすか先輩と合奏するような経験もできるようになるか?

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VRドームで3D立体視のアイドルを見ながらペンライトを振って楽しむ凸版印刷の展示

場内に設置されたドーム型のスクリーンに入ると、そこでは3DCGで描画されたアイドルたちが歌い踊っている。3D立体視メガネをかけると、アイドルたちが目の前に迫ってくるような感覚になる。そんなパフォーマンスに演奏に合わせ、手にしたペンライトを振ると連動してリズムが流れてライブに参加しているような気になれる。凸版印刷が出展していた「8K×3D 高臨場感コミュニケーションVR」の展示。講談社のVRアイドル「Hop Step Sing!」をドーム向けに展開したもので、同じ場にいるような感覚になってコールを叫んでしまいそうになる。

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「ハッピーおしゃれタイム」をプレイ中は男子でもカワイイポーズに

アイドル系では「ハッピーおしゃれタイム」というコンテンツも登場。VRヘッドマウントディスプレイを装着すると、そこでは自分自身がアイドルのような立場になって衣装をチェンジし、メイクを整えることができる。鏡を見ると、映し出されるのはそうやって変身した自分。そこから音楽に合わせて飛んでくる星にタッチするリズムゲームを遊び、好きなフレームを選んでポーズをとって写真を撮るまでを体験できる。VR空間内でかわいく写ろうとポーズを取る姿が、傍目にどう見えるかは気にしない。自分がかわいければいいと割りきろう。

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VR空間の中で無限の上がり無限に下りる「無限階段」

VRでは東京大学大学院 情報理工学系研究科 廣瀬・谷川・鳴海研究室が出展していた「無限階段」も試してみたいコンテンツ。見た目には床に断面が三角形の細い棒が放射状に並べられているだけ。ところが、VRヘッドマウントディスプレイを装着するとそこには上へと伸びるらせん階段が現れる。近寄って階段に足をかけると、足裏に階段の縁を踏んでいるような感触が。そのままらせん状の階段を上まで上り、惑星が動く様を見てから振り返り、今度は下へと続く階段を下りていく。

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VR空間では空へと伸びる階段が見える「無限階段」

これが怖い。最初に上がっていった感覚が、自分を高い場所にいると思わせてしまったのか、下りる時には体が前屈みになって、足下を探るような動きをしてしまう。傍目には平地を回っているだけでも、仮想空間に覚えた現実感が体の動きに影響を与えてしまうようだ。

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ペダルを漕ぎハンドルを傾けるとVR空間では空を飛びながら連続するリングをくぐりぬけていく

大日本印刷が出していたVRは、足下のペダルを漕ぎながら手にしたハンドルを動かすと、VR空間では空中を飛行しながら連続するリングをくぐっていく一種のゲームを楽しめるというもの。「シニアVRトレーニング」というタイトルで、遠くへと出かけられなくなった高齢者が、いながらにして仮想の空間や、360度カメラで撮影された現実の空間を移動し、出かけた気分を味わいつつ体力の維持も図れる。大日本印刷はまた、自在に色を変えられる電子ペーパーを衣服に使って、瞬時に色を切り換えられるドレスも出していた。

VRアトラクションを数多く展開しているハシラスは、東京ゲームショウ2017にも出展していた宝探しコンテンツ「GOLD RUSH VR」を出展。また、日本科学未来館前に乗馬VRを積んだトレーラーを横付けし、発電機を回して電力を供給することでVR体験をどこにでも持っていける仕組みを提案していた。

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空圧で砂の硬さを変えて物体を沈めたり浮き上がらせたりして遊べる「流動床インターフェース」

CEDEC2017にも出展されていた、ものつくり大学と東京工業大学による「流動床インターフェース」も登場。砂のフィールドの下から空気を送り込むことで、砂場が水たまりのように柔らかくなって自在に物を沈めたり、逆に固くなって沈んだものを取り出せなくしたりといった切り替えを行える。不思議な感覚を味わえる展示だ。

東京大学大学院 新領域創成科学研究科 複雑理工学専攻 篠田・牧野研究室による「空中音波による匂い環境制御」は、コーヒーやグレープといた匂いを発生させている装置の背後から、超音波のビームを当てて匂いが漂う方向を制御する技術。前に座った人の鼻には、順に切り替わっていく匂いが伝わる。室内にいる特定のグループに特定の匂いを嗅がせるような使いかができそうだ。

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ブランコに乗って空中を行ったり来たりするソリッドレイ研究所の「飛翔体験」

ブランコに乗って空中を行ったり来たりしながら、戦国の城下町を上から見下ろす「バーチャル空中ブランコ」、上下左右に動くシートに座り、ドーム型のワイドスクリーンに映し出される東京の街を移動したり、東京スカイツリーに沿って上空へと駆け上がったりできる「8K:VRライド『東京ビクトリー』」など乗り物系も並ぶデジタルコンテンツEXPO2017。行けば新しい発見が得られ、アイデアも湧いてきそうだ。

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