国内外からクルマやオートバイ、部品といった自動車に関連する企業が集まる第45回東京モーターショー2017が10月27日から11月5日まで、東京都江東区の東京ビッグサイトで開催。プレスデーとなった25日は朝早くから大勢のメディアが訪れ、新型車やコンセプトカーの説明に聞き入っていた。VRやMRなどを使って、自動運転や交通制御といった近い将来登場してくる技術を体感してもらうコーナーもあって、関心を集めていた。
トヨタ自動車や日産自動車といった大手メーカーが出す新型車や、自動運転、エコドライブといった新しい技術への関心が強くなりがちな東京モーターショーにあって、TOKYO CONNECTED LAB 2017と名付けられたコーナーにも、8:00の開場とともに来場する人がいた。ここは「クルマがつながる」未来のモビリティ社会が、クルマの利用者にどのような変化をもたらし、世の中を変えていくのかを最先端のテクノロジーや危機を利用して提案するコーナー。これからの社会を探るヒントを得に訪れたようだ。
そんなTOKYO CONNECTED LAB 2017で人気だったのが、「THE MAZE -都市迷宮を突破せよ-」という展示。参加者はブース内に置かれたシートに座りPlayStation VRを装着。最大で30人の参加者が、そこから同じVR空間に入り込み、自動運転で走る車の行き先を指示して、迷路のようになった道路の上を進んでゴールを目指す。走るのは都市に張り巡らされた同じ道路の上だが、参加者によってスタート位置が違っていて、中心にあるゴールを目指す途中ですれ違ったり、前を横切っていったりする。
ほかの参加者とVR空間上ですれ違うと、お互いの走った部分のマップが共有されて、自分がどこを走ったかが分かるようになっていく。大勢とすれ違えばそれだけマップも広がり、ゴールへの行き方も見えてくる。ドローンビューで視点を上空へと持っていって道路を俯瞰し、向かう先を探す機能もある。道路で作られた迷路をクリアする楽しさとともに、他の自動車と情報がシェアされた未来の交通のあり方、自動的に減速などが行われる自動運転の便利さがわかる展示だ。
同じTOKYO CONNECTED LAB 2017でひときわ目立つのが「THE FUTURE」という展示。巨大なドーム内で、未来のモビリティ社会をいくつかのパターンから想像して提示する映像が上映される。事前にスマートフォンやタブレットでアンケートに答え、QRコードを取得しておくと、中に入る際にQRコードが読み取られ、回答にマッチした「MOVE」「DRIVE」「SHARE」といった未来のモビリティ社会のパターンが、アンケート結果の割合と共に示される。最大で300人ほどが入場可能な「THE FUTURE」で、事前に大勢がアンケートに答えておけば、どういった未来が多く望まれているかが分かりそうだ。
THE CONNECTED LAB 2017には個別企業の出展もあって、トヨタ自動車はITS(高度道路交通システム)が整備され、交差点で右折時に直進してくるクルマを察知して無理に進まないように制御したり、緊急車両が近づいてきた時にどこから来るかを案内してくれたりする仕組みを、VRによって体験してもらっていた。デンソーはコックピット型の装置を使い、走行時に車線変更を指示すると、後から走ってくるクルマがいないかを察知して、無理な変更をさせない自動運転の技術などを見せていた。
デンソーはまた、メーカーとして出展していたブースに広いスペースをとって、自由に歩き回れるフリーローム型のVRを使ったアトラクションを出展していた。両手両足に位置トラッキング用のマーカーをつけ、頭にもマーカーがついたVRヘッドマウントディスプレイを装着すると、そこは東京ビッグサイトではなく研究所の室内。参加者は指示に従って立ち上がり、歩いて外に出て周囲が手すりで囲われた船のような乗り物の上に立つ。
実際にはデンソーのブース内に作られた、手すりで囲われた台の上に立っているだけだが、プレイヤーはCGで描かれた森や山野といった場所を移動しながら、デンソーが持っている自動車に関する技術の説明を聞いている感覚になる。森に入ると、参加者はサーチライトのように光が放たれる装置を受け取り、出現するさまざまな動物を照らしてチェックしていく。これも実際には、取っ手の付いた箱を受け取り四方に向けているだけ。そこにはない場所へと連れていき、現実とは違った体験をさせてくれるVRの特長が出たアトラクションだ。
前方に現れた敵のような物体からビームが放たれるのをかわし、ゴールとなっている場所へとたどり着いて終了。長い距離を移動したように感じられたが、参加者はブース内に固定されたコーナーからは1歩も外には出ていない。アミューズメント施設に導入され始めている、自由に移動できるフリーローム型のVRを、クルマを見に来たついでに体験できる出展だ。
このほかトヨタ自動車が、VRヘッドマウントディスプレイのHTC Viveを使って、クルマの中で自動運転中にくつろぎながら窓からの風景を楽しむVRを出展。MRではUDトラックスがマイクロソフトのHoloLensを使い、トラックのダッシュボードを見るとハンドルやスイッチ類が何かを説明してくれるグラフィックが浮かび、音声が流れてくるガイド機能を提案していた。
クルマといえば、ソニー・インタラクティブエンタテインメントが長くリリースし続けているドライビングシミュレーター「グランツーリスモ」シリーズの最新作となる「グランツーリスモSPORT」も東京モーターショー2017に出展されている。ステアリングやペダルがついたコックピットに座って、大型のモニターを見ながらプレイできる試遊台が登場。これとは別に、PlayStation VRを使いステアリングコントローラーでプレイするコーナーもあって、自分が運転席に座ってサーキットを走っているような感覚を体験できる。
東京モーターショー2017は26日までプレスデー、27日がオフィシャルデーおよびプレビューデーで28日からが一般公開となる。