ソニックのやつは良い走りも悪い走りもする。だが、最終的にはゲーム史上最も愛されているゲームキャラクターに含まれるはずだ。「ソニックマニア」でソニックは2D横スクロールのルーツに立ち戻り、この青いハリネズミをスーパースターにした16ビットの名作たちから直接インスパイアされたタイトルである。そして、「ソニックマニア」が証明しているのは、どれだけ時間が経過しても、素晴らしいゲームプレイがいつまでもその輝きを失わないことだ。

ソニック、テイルス、ナックルズは今回もDr.エッグマンとその手下に立ち向かう。彼らは走り、ジャンプし、スピンダッシュを繰り出し、飛んで、滑空することで、用意された12のゾーンを攻略する。「Chemical Plant」や「Stardust Speedway」に「Lava Reef」といった懐かしいステージはもちろん、「Studiopolis」に「Mirage Saloon」といった完全新ゾーンもある。新しいゾーンは特に完成度が高く、テーマ性とレベルデザインはカラフルでクリエイティブだ。コースを突っ走って、立ち止まって探索して、様々なチャレンジや隠し要素を見つけるので夢中になった。例えば「Studiopolis」は大都市のテレビ局というテーマとなっており、きらびやかなネオンライトに奇妙な機械装置が印象的だった。テレビの電波のように違う空間にテレポートしてからポップコーンマシンの中に入るルートもあれば、実は地下を突っ走ることもできる。

 

過去作から再登場するゾーンも新しい仕掛けがたくさん詰まっている。もっと広く、構造も複雑になった。古い罠や仕掛けは私を懐かしい気持ちにさせたが、新しいものには驚かされた。「ソニック・ザ・ヘッジホッグ2」の「Chemical Plant Zone」の高速移動できるトンネルや斜道は前から楽しいコースだったが、新しく追加されたゼリーのような科学物質の上で飛び跳ねて壁にくっつくことができるようになったおかげで、まったく新しいフィールになったといえる。

過去作から再登場するゾーンも新しい仕掛けがたくさん詰まっている。

新しくなったのはゾーンだけじゃない。描き直された過去作のステージはより明るい色合いと視覚的な面白さのおかげでかつてないほどゴージャスだ。新しいゾーンのアートスタイルも2Dのドット絵できれいに再現されており、世界観とマッチしている。ステージの背景もより細かく描写され、動きが増えた。それは敵に関しても言えることだ。Dr.エッグマンが送り出した敵はどれも面白く、個性がある。台詞がまったくないのに、どれもユニークで興味深い敵に仕上がっている。サウンドトラックも高品質で、過去作のリミックスと完全新曲が収録されている。

「ソニックマニア」はソニックのエッセンスがすべて詰まっている。広くて複雑な構造のステージ、レスポンスの良い操作系と優れた物理挙動、興味深い仕掛けと罠、豊富な隠し要素、そして瞬時の判断力を要する障害物の数々。ステージを何度もリプレイすると新しいルートや隠し要素を発見し、5回プレイして初めて気づいたものもあった。

ステージを再訪する意義もちゃんと存在する。なぜなら各ステージに隠されたカオスエメラルドをすべて見つけ出さなければスペシャルステージに進めないからで、そうしなければ「ソニックマニア」の真エンディングを見ることができないからだ。スペシャルステージでは3Dのフィールドを移動してUFOを追い、加速できる青いボールとリングを集めながら進まなければならない。コンセプトとしては面白いが、道を防ぐ障害物は多少見づらいし、一部のオブジェクトとの衝突の判定にもズレがあるように思う。爆弾との衝突がきっかけでその次の障害物にも突っ込んでしまい、一度の衝突がそれまでは絶好調だった走りを台無しにすることもある。

「ソニック・ザ・ヘッジホッグ3」のボーナスステージも復活しており、各ステージのチェックポイント付近に隠されている。ボーナスステージはクリアしてもカオスエメラルドはもらえないが、複数クリアすると他の追加要素がアンロックされ、サウンドテスト、デバッグモード、そして隠されたミニゲームまでプレイできるようになる。ボーナスステージは最初こそ簡単だが、どんどん難しくなっていくので全部クリアするまではかなりの練習が必要だった。

 

過去作のすべてが楽しかったわけではないので、その全要素に復活してほしいわけではない。だが、過去作に登場していた要素なら、それが「ソニックマニア」にもある可能性はかなり高いーーあまり楽しくないものも含めて。例えば、「ソニック・ザ・ヘッジホッグ2」の「Sky Chase Zone」を久しぶりに見るのは懐かしいが、自動スクロールと不安定な操作系は当時すでにあまり楽しいものではなかったし、それは今も変わらない。「ソニック・ザ・ヘッジホッグ3」の「Sandopolis Zone」の照明が落ちるとゴーストが襲来するメカニックにも、23年が経った今も相変わらずイライラさせられる。

過去作のすべてが楽しかったわけではない。

ボス戦は基本的によく出来ているが、冗長に感じられるものもある。例えば「Studopolis Zone」中盤のボスは初代「ソニック・ザ・ヘッジホッグ」のラスボスを改良したバージョンは少し長く感じた。また、過去作にはボス戦とボス戦の間にチェックポイントがなかったことは私も覚えているが、「ソニックマニア」に追加してもよかったのではないだろうか。

ソニックの下に向かってダッシュする新技はあまり強くもなければ速くもなく、使いみちに困ったので私はほとんどの場合は通常のスピンダッシュを使った。「ソニック・ザ・ヘッジホッグ CD」のスピードアップと、「ソニック・ザ・ヘッジホッグ3」のW回転アタックをアンロックするとオプション画面から選択できるが、残念ながらこのモードではセーブできない。